爽やかブレンド

 先日お話しした舌下免疫療法ですが、効いているのかいないのか。花粉は感じます。ただ抗ヒスタミン薬は今のところ飲まなくても大丈夫なレベルです。

さて、またまた真面目な投稿です。

差し歯が折れた患者様がいらっしゃいました。

中央右の白い部分は応急的に土台を作った状態、その右隣は仮歯を作るために被せ物を外した状態なので、完全な最初の状態ではありません。
上から(下から?)見るとこんな感じ。左の前歯がずいぶん内側に位置しています。
この日は救急の対応しかできなかったため↓のような仮歯を作りました。

歯の並び的にどうしても歪な形になってしまいましたが、幸いお口が小さく、笑った時もあまり歯が露出しないタイプの患者様だったので、ご満足いただけました。

ここからどう治すか。

内側に入った歯を綺麗に保存することは不可能だったため、インプラントも考えましたが、患者様の希望により、ブリッジで治すことにしました。となると、先ほどの歯は抜歯をするのが通常のやり方ですが、CTを確認してみると、、
歯の軸がかなり内側に倒れていました

軸が正常な隣の歯と比較するとよくわかると思います。

また内側に倒れているため根の先端が唇側の骨から飛び出るように位置しており、ここを抜歯すると、大きな骨の吸収が起こる恐れがありました。もしそうなると歯肉も大きく吸収するため、異常に長い歯を作らなければならなくなります。

そこで!

歯を抜かずに根を組織内に温存する方法を選択しました。具体的には根をある程度深いところまで削り、そこを歯肉で、完全に覆ってしまうという方法です。こうすることにより、歯の周りの骨が吸収するのを防ぎ、歯肉のボリュームの減少を最小限に抑えることができます。

加えて最初に作った仮歯が不恰好に見える原因に、歯肉ラインの不調和と歯の長さが短いことが挙げられますが、これを解決すべく、骨と歯肉の整形を同時に行いました。術中、術直後の写真がなく大変恐縮ですが、治癒後(術後3ヶ月)の写真が↓です。
術前         

術後(歯茎の幅に注目)

術前           

術後(歯茎のラインに注目)

術後の正面観で少し凹んで見えるのは、最終物が自然な形態に見えるよう仮歯を押し付けて歯肉の整形を行ったためです。これだけだとただ歯を抜いたように思われるかもしれませんが、レントゲンを見ると、、
術前(初診時)    

術後(最終物セット後)

根が残っているのがわかると思います。もちろん根管治療もやり直しています。

そして!

いよいよ最終補綴物(ブリッジ)の装着です。




歯肉ラインの調和と歯の自然な長さを獲得できていると思います。何よりこのナチュラルな形態と色調。技工士さんには頭が上がりません。脱帽です。
スマイル時の見た目もこの通り。完璧です。

こういった治療だと、どうしても期間が長くなりますが、ご理解ご協力いただいた患者様に感謝です。インプラント以外でもこういった審美的な治療もあるというご紹介でした。

木村








コメント

  1. 一人一人に合わせた治療が必要ということですね。そのためには知識と理解してもらうための説明力も必要だと分かりました。
    懸垂は足上げの方が負荷がかかるのですか?

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    1. コメントありがとうございます。様々な選択肢の中で個々の患者様に適した治療を一緒に考えていければと心がけております。
      足上げについては腹筋に負荷はかかりますが、広背筋への負荷は変わらないと思います。マンネリ回避の目的が大きいです。広背筋への意識の集中が乱れるという意味ではよくないかもしれません。

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