鉄という字はいいですね

 意志が強くて一本通った感じしますよね。


さて!症例紹介です!血液の写った写真もあるので閲覧注意でお願いします。

他院で根管治療を受けた際に、ラバーダム防湿をして、その時に使った金属の金具が歯肉を傷つけたせいか、歯肉が退縮してしまったという患者様です。歯肉移植を希望して来院されました。

矢印部の歯肉が退縮して歯の根が露出しています。色も少し黒ずんでいますが、根管治療済みの歯は、だんだん変色してきますので異常ではありません。

また、歯肉に注目すると、他の歯の周りの歯肉より厚みが薄いことがわかります。今回はたまたま根管治療をきっかけに退縮が起きたようですが、ちょっとした刺激によって同じような退縮が起きていたと予想されます。きちんとラバーダム防湿を行っていたことは大変素晴らしい。

というわけで今回は歯の根の被覆と、歯肉の厚みの確保が必要となります。歯肉に厚みを持たせることで今後の刺激に対する抵抗力を獲得します。

切開線や粘膜の剥離の仕方などを事前に決定します。画像中のメモ書きの解説は省略します。

ここからは術者目線でいきましょう!



まずは切開、剥離です。
真ん中と左右で剥離の仕方に違いがあるのがわかるあなたはプロフェッショナルですね?
(全層弁、部分層弁)

わかりづらくて恐縮ですが、上顎から採ってきた歯肉を上皮と中身の結合組織に分けて2枚おろしにした写真です。中身の結合組織を移植に使います。

露出した根に歯肉がきちんと付着するよう、特殊な処置を行います。

移植する結合組織を合わせます。

カバーしたいラインよりもさらに2mm上に持ち上げたところで開いた粘膜を縫い付け、オペ終了です。色々割愛はしています。かなりセンシティブなので慎重に行い、2時間以上かかりました。ちなみに静脈鎮静下(点滴麻酔)での処置なので、患者様に術中の記憶はほぼありません。眠ったような状態で治療を受けられます。

1週間後↑

1ヶ月後↑


5ヶ月後↑(久々に来院されプラークがついており、歯の表面がざらついています)



比較するとこんな感じです。

歯肉の厚みが増していることも
大きなポイントで、
今後、移植部が退縮するリスクが低くなります。

歯の形態と色調もアンバランスではあるので、審美性を追求するのであればクラウンによる補綴を行います。患者様は今回はこのままを希望されました。メンテナンスで経過をみていきます。



木村


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